日本からの来客

時は戻って留学2ヶ月目(くらい)。日本の友人がはるばる飛んできた。

日本語を使える環境はほぼゼロ、ドイツ語では名前と愛想笑いしかできないので、軽い挨拶の後は英語を使ってコミュニケートするしかなかったはずの私が、いつの間にか自分の中で英語は「古い」言葉・ドイツ語は「新しい」言葉に意識が完全チェンジ。


つまり頭の中はすっかりドイツ語、生活がその頃には完全にドイツ語でサイクルしていたのだ。人間の適応能力ってすごい。(日本人がいない、やむを得ない環境も影響大だと思うが)


私の留学生活にはその後何人か母国からの来客が登場するが、最初に迎えたファーストゲストはD氏。某大学の研究員としてH大学に数週間来たのだが、週末ごとにBonnまで南下して顔出ししてくれた。


D氏の滞独期間中におりしも私の誕生日があった。それを事前に知っていたD氏は、日本の仲間の声をぎっしりつめたテープとプレゼントをひっさげてボンまで来てくれた。


すごーくすごーく嬉しかったのだが、何とも複雑な感情に襲われた。

到着するなり襲ってきたホームシック(9月23日の日記参照:http://d.hatena.ne.jp/capisco/20040923)を乗り越え、いつの間にか生活基盤がドイツ語になっていく過程には、日本の事を忘れる必要があった。適度に思い出して刺激にする事は不必要な刺激となり、この時期はまだ思考回路も感情回路もドイツ一色にして、一刻も早く楽になりたかった時期とも言えた。


ここらの感情は、同じ海外留学体験者でも人それぞれだろう。もっともっとドライでクールな人もいるだろうし、むしろその方が大多数かもしれない。今の時代は、通信手段一つとっても海の向こうが格段に近いし、情報も比較にならない程多いので、そんなに「異国情緒」的メランコリック症状はないだろう。


諸要素に加えて、私はかなり複雑な思考回路(それでいて超シンプル♪)を持っているらしいので、日本からのお客人という出来事ひとつ取り上げてみても、頭の切り替えが困難だったと言う事もできる。


D氏と共にまとわりついてきた郷土の空気が懐かしさを増して、純粋に嬉しいのだから喜べばいいだけなのにね(笑)。


続きはまた次回…(^0^)/