イタリア旅行 その3

詳しい時間はもちろん忘れたけど、目に飛び込んできた風景を黙って静止状態のまま一人かみしめながら、知らない間に時間は経っていたもよう。気がつけば空も明るくなってきて、同じコンパートメントの人たちが起き出した。


さぁ、初めてのイタリアの旅が始まる。私の予定はいたってシンプル。フィレンツェ→ローマ。欲張りはしない。外国を旅行する時はいつも狭く深くが好き。生活に入り込んで観光するような旅が好き。この時は何日くらいの滞在予定だったかなぁ。合わせて2週間くらいか?Julianとイタリア到着後の予定を話していたら、まずはフィレンツェに行きたいと言う点で一致。お互い何に追われる身でもないので、とりあえずフィレンツェを一緒に周ろうか、と早くも道連れができた。


確かミラノで乗り換えた。大きな駅だった記憶がある。ファッションの街?ミラノコレクション?興味もなければ知識もないので何の感動もなかった。ただ乗り換えの待ち時間がやたらと長かったのは覚えてる。さすがイタリア人はのんびりしてるな、などと思いながら階段みたいな所に2人で座って時間つぶしながらJulianとずっとしゃべってたなあ。内容はなーんにも覚えてなけど。


間違えることもなく無事フィレンツェに到着した時は、打って変って胸が高鳴った。白い鳩が舞うような華やかな感じ(笑)自分の足で街を歩いてみるとじわじわと感動の波が広がる。あれってどういう感覚なんだろう?テレビや教科書で見たような景色を目にして「うぉーーー!ホントにここにいるぜーーー!」という感覚とは違う。全然ない、そんなの。むしろあっけなさ過ぎてクールに冷え切る。個人的な思い入れと言ってもそんなたいしたものでもないし・・・やっぱり街の空気から歴史の重みかな。


一方で、想像を超える人混みで、色んな人種がグワシッと集合した感じで、道は汚れ、歩道も車道もなく無法則地帯と化して人間が行き交う。ガラガラとうるさい音を立ててスーツケースを引きずる姿も珍しくない。ちがうちがうちが〜うヽ(`〇´)ノ 映画で観たフィレンツェとちが〜う。フィレンツェの現実。裏の顔か(´・_・`) ・・・やっぱそうよね。どこも一緒よね。京都も一緒だもんな。人混みでうんざりするもんな。生々しい現実はちょっと悲しいけど、顔を上げてイタリアらしいオレンジ色の建物の壁に書かれた住所を見ると「Via Rosina, 4」。いや〜んやっぱりイタリアじゃ〜ん。むふ(^^)


こういう歴史的な街、有名な街は訪れる人がみんな思い思いに勝手にイメージを作ってくるから仕方ないんだな。それでもやっぱりフィレンツェは花の都であってほしいと思うのだ。


さて、まずはホテルだ。私はボンで既にSan Lorenzoというホテルを予約済みだったが、Julianは宿も決めてない状態。私と同じとこに行って聞いてみるか、という事で行ってみる。相手はカタコト英語のおばちゃんで、おまけに当時はまだ「リラ」の時代。値段を聞いて理解するのも一苦労だ。関係ないけどリラってやたらとゼロが多くて、リッチな気分になるww


結局空き部屋があったのでチェックインしてから一緒に街に出ることにした。とりあえず中心へ行こう。観光名所はとにかく回った回った。2人で歩いた歩いた。ずーっとしゃべりながらクタクタになるまで歩き続けた。屋外のレストランで雰囲気良く美味しそうなイタ飯食べてる人たちがいたので我らも真似してみたけど、注文の仕方がわからない。プリモピアット?は(・・? ココの人達ってホントに普通にフルコース食べるんだな。日本でも最近でこそメジャーになってアンティパストとかプリモピアットとか珍しくなくなったけど、当時の私はピザならピザ、パスタならパスタで食事は終わると思ってた。それだけで十分お腹いっぱいじゃん。ワインもつけて、楽しく陽気に食べることも本場の空気で学びました◎


夕方、ボンの語学学校の友達クリスティアーナに電話してみた。彼女は陽気な黒髪のイタリア娘で、実家はフィレンツェ。夏休みにイタリア旅行するよ、と話したら夏には帰省するから連絡して、と実家の電話番号を教えてくれたのだ。彼女のドイツ語は強いイタリア語訛りで、まるで歌を歌っているみたい。Julianも一緒に訪ねていくことになった。駅から徒歩10分くらいの場所だったけど、駅の裏側に周った途端、突如のどかな田園風景が広がる素晴らしい場所にあった。可愛くて大きくて、開放的な玄関。タイルに木製家具に吹き抜けの天井・・・今の私だったらよだれたらして家中見せてもらうだろうなー。クリスティアーナはドイツ人の彼と一緒に帰省していて、彼女のママと妹さんとで出迎えてくれた。ダイニングの丸テーブルを囲んで、みんなでママの手料理をいただいた。もうね、そのままでレストランですから。食器とか、料理とか。これが自然なんだ。イタリア料理ってこうやってみんなで食べるんだ。




・・・その夜、私は膀胱炎になった。その時はわからなかったけど、後から思えば疲れたんだと思う。ずっと歩き通しで、しかも慣れたドイツ語にも頼れず英語漬けな上、街を歩けば読めないイタリア語ばかり。とにかく一晩中寝れなかった。トイレに行きたいのに、行っても出ない。そのくせベッドに戻った瞬間にまたトイレに行きたくなる。薬もなく、助けもなく、これをずーーーーーっと一人で繰り返して夜が明けた。最後はトイレで寝てたかな。


確かもう1泊して美術館とかヴェッキオ橋あたりを散策したりした記憶がある。道連れもいるし楽しいは楽しいけど、とにかくハードで休まる暇がないのは私だけでなくJulianも一緒だった。彼はこの後、ギリシャに行きたいようだったけど、私の向かうローマも捨てがたい。一緒にローマまで行こうかかなり悩んだあげく、やっぱりギリシャに行く、と行って翌朝早く発っていった。盛りだくさんの観光ができて良かったけど、ちょっとスローペースにしたかったんだよねf^^; かく言う私も、「ローマも一緒に周る?」なんて話してはいたものの、ギリシャを選んでくれて内心ホッとした。かなり疲れがたまっていた。一人で考える時間すらもてなかった。


旅は道連れ?ずっと続くと、一人で動きたくなるかも。明日はローマへ。